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 宇宙に漂うガスや鉱物が集まって太陽や月や地球が生まれました。多くの生き物で栄える地球の全ての営みは、神秘的ともいえるそれらの「調和」の中で育まれています。



 和三本のラベルにある三つの輪(和)は、宇宙の混沌の中から生まれた太陽と地球と月であり、あるいは天と地と人であり、米と水と技といった「三つの事象の調和」をイメージしています。

 そして、三つの円から一条の線が導かれるように、大自然の中で健やかに育まれた米と清冽な水と、蔵人たちの「和」により、このお酒は生まれました。



 互いに重ならない大きさの異なる三つの円に外側から接する接線を引くと、そこに現れる三つの交点は一直線上に並びます。

 円の大きさや配置をどのように変えてみても、必ずそうなるのです。

 これはまさしく宇宙の神秘ではないでしょうか!


 座標の上に三つの円を置き、代数方程式によってこの神秘を解き明かそうとすると、それが余りにも煩雑な試みであることに気づかされます。

 計算式自体は中学生でも理解できる内容ですが、雑草のように繁茂する添字はもとより、根号や分数式が入り乱れ、集中力と根気を要する作業となります。
 腕力に自信のある方は、ぜひ一度お試しください。


 では高校数学を用い、それぞれの円の中心から別の円の中心へ向かうベクトルによって、三つの交点を結ぶベクトルを表す試みはどうでしょうか。

 この方法であれば、20数行の比較的シンプルなベクトル方程式により神秘を解き明かすことができます。

ご興味がおありの方は上記の図を
タップ (クリック) してみてください


 実は、中高生でもなく小学生でも理解できる、もっとシンプルでエレガントな導き方があります。

 三つの円を平面状に描かれた図形として捉えるのではなく、空間に浮かぶ三つの「球」として考えてみてください。
 その三つの球を上と下から二枚の板で挟むことを思い描くと、その板、つまり二つの平面の交わるところに一本の直線が生じます。

 円の接線は三次元空間では二つの球が接する円錐となり、その頂点が一直線上に並ぶ姿がイメージできるのではないでしょうか。
 元の図形は、三つの球の中心を通る平面の上に映し出されます。



 気候変動への対応のみならず社会のあり方を含め、価値観が大きく変わる時代を迎えています。
 まるでサバクトビバッタのように資源を使い尽くす勢いで「拡大均衡」を優先させてきた人類が、自らの存亡をかけて自然と調和した「縮小均衡」という生き方へ「進化」する転換点に立たされています。

 SDGs が掲げる「誰ひとり取り残さない」という言葉は、言い換えるならば「その人がその人らしく」生きられるということでもあり、究極の「部分最適」を表しているとも言えます。
 人々が受け取る情報がグローバル化し、一人ひとりの意識が世界全体とつながる中で、地域や国家のみならず個々の人々のアイデンティティーという「部分最適」を保ちながら、国際社会を安定的に持続させる「全体最適」を実現するための価値観の再定義が、人類が直面している「グレート・リセット」の本質なのかも知れません。

 日本酒も、米を磨いた綺麗で香り高い酒というような「モノ」のみの評価だけではなく、原料米の栽培やその処理過程を含めて環境に配慮し、地域の食文化の要としてのパートナーシップを大切にした「蔵の歩み」という、別の座標軸からの価値に重きを置いていかなくてはならないのではないでしょうか。

 健やかに育てられた地元産の契約栽培米を大切に用い、三つの輪(和)と一条の線をモチーフとした純米酒「和三本」に込めた、私共の思いをお感じ戴けましたなら幸いです。



信濃錦 純米酒「和三本(わさんぼん)」







低精白純米酒に込めた思い
(語り:蔵元 宮 島 敏)


 信濃錦 | その先の未来へ


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